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「AIを業務に活かしたい」そう思って「AI導入支援」を提供している会社に何社か問い合わせてみたものの、各社の言うことがまるでバラバラで、かえって分からなくなった——こうした声をよく耳にします。
ある会社は経営戦略やビジョンの話に終始し、ある会社は自社のツールを軸に提案を組み立て、また別の会社は「作るものが決まっていれば作ります」と言う。どれも嘘を言っているわけではないのに、各社の守備範囲が違うために、見ている景色がそれぞれ異なります。
社内に持ち帰っても「まずは大手に頼んでおけば安心では」「いや、その前に研修からでは」と意見が割れ、決め手がないまま時間だけが過ぎていきます。
本記事では、「おすすめAI導入支援会社○選」のような会社名のランキングではなく、AI導入をどう分解して捉えれば、依頼先ごとの守備範囲のズレに自分で気づけるのか、という見方をします。
自社の状況を工程に分解し、依頼先タイプ別の比較表を使って「どの工程を、誰に頼むか」を判断するための軸を解説していきます。
生成AIを業務で使う企業は、ここ数年で確実に増えました。
帝国データバンクが2026年3月に全国23,349社を対象に実施し、10,312社から回答を得た調査では、生成AIを「活用している」と答えた企業は34.5%にのぼっています(出典: 生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)— 帝国データバンク)。
文章の作成や要約、情報収集といった個人の作業を中心に、AIはすでに多くの職場に入り込んでいます。
この記事を読んでいる方も、ChatGPTやNotion AIを自分の仕事で触った経験があるかと思います。
ところが、同じ調査が示す課題の中身を見ると、別の景色が浮かび上がります。
活用にあたっての懸念・課題として、「情報の正確性」(50.4%)に次いで多く挙がったのが「専門人材・ノウハウ不足」(41.3%)であり、さらに「活用すべき業務の範囲」(40.0%)が続いています。
つまり多くの企業は、AIを使いたい気持ちはあるのに、社内に進められる人材やノウハウがなく、そもそもどの業務に何をすればよいのかが定まらない、という地点で立ち止まっているのです。
社内に人材とノウハウが足りないなら、外部の力を借りればいい——多くの企業が自然とそう考えます。けれども、ここで冒頭の壁にぶつかります。
頼ろうとした先の各社が、まったく違うことを言うのです。
なぜそうなるのかというと、「AI導入支援」という看板は同じでも、各社の得意な領域が違うからにほかなりません。
戦略を描くのが得意な会社、業務の流れを設計するのが得意な会社、システムを作るのが得意な会社、自社のツールを提供する会社——それぞれが自分の得意な工程から景色を語るので、発注側には全体像が見えなくなります。
本記事では、どんな会社にも得意な工程と不得意な工程があり、すべてを高い水準でこなせる相手はとても少ないということを前提としています。
それでも自社に合う依頼先を見つけるために、「いい会社を探すこと」ではなく、「自社に必要な工程を見極め、それを相手の得意工程と突き合わせる物差し」を持てるようにすることを目的としています。
依頼先を見極める前に、まず自社側で掴んでおきたいことがあります。
それは、「自分たちはAIで、どこまで踏み込もうとしているのか」です。同じ「AIを導入したい」という言葉でも、思い描いている中身の重さは、人によって大きく違います。
各社の話がバラバラに聞こえるのは、この「重さ」の認識が、発注側と各社の間でそろっていないことも一因です。
AIの使い方は、軽いものから重いものまで、おおよそ4つの段階に分けて捉えられます。
ChatGPTやClaudeの画面を開き、その場で指示を出して使う段階です。
業務の手順そのものは変えず、書く・読む・調べるという作業の一部を、担当者が自分の手元でAIに任せます。
【例】
議事録から要点を書き出す。送付前のメール文を整える。資料の下書きを作る。
この段階で社内が決めるのは、使ってよい業務の範囲、入力してよい情報の線引き、有料プランを契約するかどうかの3点です。開発は発生しません。
すでに契約している業務ツールのAI機能を有効にして使う段階です。
第1段階との違いは、AIが担当者の画面の外で動き、ツールに溜まっているデータを読むことです。
【例】
議事録ツールが会議の音声から要点を抽出する。表計算ソフトが数式や集計の候補を出す。
社内が決めるのは、機能を有効にする範囲を全社にするか一部門にするか、AIに読ませるデータ、追加費用の扱いです。ツールの設定で完結するため、ここも開発は発生しません。
複数の作業やシステムをまたぐ処理として、AIを自動で動かす段階です。
人が画面を開かなくても処理が進むため、業務の手順そのものを書き換えることになります。
【例】
問い合わせが届いたら自動で記録し、AIが回答案を作って担当者に通知する。
受け取った請求書を読み取り、内容を確認して会計システムに登録する。
必要になるのは、対象業務の手順の洗い出し、AIに読ませるデータの整備、ツールをつなぐ設定または開発の3つです。あわせて、どこで人が確認するかも決めます。
自動で動く分、確認を挟まなければ、誤った答えもそのまま次の作業に流れていきます。
既製の製品では要件を満たせない場合に、自社のデータを学習させたり、自社の業務に合わせてシステムを作り込んだりする段階です。
【例】
自社の過去案件と社内規程を検索して回答する仕組み。
自社の判断基準を学習させ、一次確認を高い精度で担わせる仕組み。
4段階のなかで、費用と期間がいちばん大きくなります。
作って納めた時点で終わりではなく、データの追加や再学習、精度の確認を続ける前提で考える段階です。仕様を先に固めきれない性質があるため、費用の払い方や契約の形も、第1・第2段階と同じようには決められません。
個人利用が進んでいる読者の多くは、第1段階から第2段階のあたりは既に活用されているかと思います。
一方で、業務に大きく影響する第3段階や第4段階になると、急に開発や設計の世界が顔を出すため、難易度が高くなります。
自分がどの段階を目指しているのかが曖昧なまま問い合わせると、各社は自分の得意な段階の絵を描いて返してきます。話がかみ合わない正体は、ここにもあります。
ただし、目指す段階の見当がついても、それだけで「誰に頼むか」までは決められません。
なぜなら、軽い段階であれ重い段階であれ、AI導入をいざ進めるとなると、必ずいくつかの工程を通ることになり、依頼先の得意・不得意は、その工程の上で分かれるからです。
そこで次は、「重さ」ではなく「工程」という観点で見ていきます。
ここからが、依頼先の守備範囲のズレを見抜くための、いちばんの判断軸になります。
先ほどは「どこまでやるか」という重さで見ましたが、今度はそれを実現する過程を、時間の流れに沿った工程に分けて捉えます。
AI導入は大きく、構想・設計・実行の3つの工程に分けられます。
一般的なAI導入プロジェクトでも、対象業務を決め、PoC(試しに小さく作って、本番の運用に載せられるかを検証すること)というゲートをくぐってから本番の開発・運用へ進む、という段階を踏むのが定石です。
最初の構想の工程には、「何のために、どの業務にAIを使うのか」を決める目的設定と対象業務の選定が含まれます。ここがぼんやりしていると、後の工程もなかなか進みません。
どの業務をAIに任せるかの見極めについては、AIエージェント導入は「何を任せるか」で判断するで詳しく整理しています。
設計の工程では4つの要素が含まれています。
対象業務の流れを整理して「どこにAIを差し込むか」を考える業務プロセス設計。
AIに渡せるように社内のデータを整えるデータ整備。
「何を、どんな条件で、どう動かすか」を具体的に決める要件定義。
そして、目的と要件に照らして「どのAI・どのツールを使うか」を選ぶツール選定です。
そして、実行の工程が、実際に設計したとおりに作って動かし、現場で使われる状態まで持っていく実装と定着です。
各工程にはそれぞれ注意するポイントがあります。
構想では、目的が曖昧なまま「とにかくAIで何かを」と走り出してしまうこと。
設計では、業務の流れを見直さずにAIだけ乗せようとして業務プロセス設計を飛ばすこと、AIに渡すべきデータが社内に散らばっていて使えないこと、そして「だいたいこんな感じで」と要件定義が甘いまま開発に渡してしまうこと。
実行では、システムは完成したのに現場の運用に乗らず、作って終わりになってしまうこと。
工程での要素と注意するポイントを意識しておくと、依頼先の話を「この会社は、工程のうちどこをカバーしてくれるのか」という目線で聞けるようになります。
次の章では、その整理の上に、依頼先タイプを重ねていきます。
世の中の「AI導入支援」は、おおまかに次の5つのタイプに分けて捉えると、守備範囲の違いが見えやすくなります。
いずれも役割が違うだけで、優劣の話ではない点を先にお断りしておきます。
5タイプを、先ほどの工程の整理に重ねると、得意・不得意のクセが見えてきます。
下の表は、各タイプがどの工程を得意とする傾向にあるかを、◯(得意)・△(条件つき・限定的)・×(守備範囲の外)で示したものです。
あくまで一般的な傾向であり、個々の会社によって幅がある点はご留意ください。
依頼先タイプ | 目的設定 | 業務プロセス設計 | データ整備 | 要件定義 | ツール選定 | 実装・定着 |
|---|---|---|---|---|---|---|
戦略コンサル | ◯ | △ | × | △ | △ | × |
IT・DXコンサル | ◯ | ◯ | △ | ◯ | ◯ | △ |
システム開発・SIer | × | △ | ◯ | ◯ | △ | ◯ |
SaaS・ツールベンダー | × | △ | △ | △ | ◯ | ◯ |
研修会社 | △ | × | × | × | × | △ |
以下、1タイプずつ見ていきます。
戦略コンサルは、経営の視点から「AIで何を目指すか」という全社の構想を描くことを得意とします。
一方で、データ整備や実装といった右側はそもそも守備範囲の外です。
構想側に強いぶん、描いた絵を誰が形にするのかは、別に決める必要があります。
IT・DXコンサルは、業務改革やDXの文脈で、業務の流れを設計し直し、要件やツールの方針まで落とすところに強みがあります。
「AIコンサル」を名乗る事業者も、担う工程としてはここに位置します。
表の上では、5タイプのなかで最も広い範囲をカバーします。
ただしデータ整備と実装・定着は△で、作って動かすところまでを同じ会社が担えるとは限りません。
システム開発会社・SIer(システムを組み上げて納める事業者)は、実際に作って安定して動かす、開発と実装と運用の担い手です。
「AI開発会社」を名乗る事業者も、担う工程としてはここに入ります。
作って動かす右側に強い半面、「そもそも何のためにやるのか」という目的設定は、依頼側が決めて持ち込む前提に立っていることが多いと言えます。
SaaS・ツールベンダーは、自社が提供するAI製品を軸に導入を支援する立場です。
自社製品の範囲ではツール選定から実装・定着まで頼りになりますが、その「自社製品の範囲で」という前提があります。
支援が自社製品を前提に組み立てられるため、複数の選択肢を中立に比較したい段階や、製品の枠を越えた目的設定を求める段階では、別の企業のほうが向く場合があります。
研修会社は、社員のリテラシーを底上げし、AIを使える人を育てることを役割とします。
人を育てる工程に役割が限られ、業務設計や開発までは担いません。「まず研修から」という社内の声は、人材育成という一工程としては正しくても、それだけでAI導入そのものが進むわけではない、と整理できます。
ここで注意したいのは、現実の会社は、この5タイプにきれいに収まるとは限らないことです。
複数の工程を横断してカバーする会社もありますし、同じ「コンサル」を名乗っていても、得意な工程は会社ごとにまるで違います。
その会社の過去の事例や実績、もともと何を強みに育ってきた会社なのかという背景を確かめ、「御社は、どの工程から、どの工程までを、どのように担っていただけるのか」を具体的な言葉で説明してもらうことも欠かせません。
広くカバーできるように見える会社でも、それぞれの工程をどれだけの深さで担えるかは別の問題です。
この表は、唯一の正解を指し示すものではなく、自社に必要な工程と、相手が実際に担える工程を突き合わせるための道具として使ってください。
依頼先のタイプが絞れてきたら、次は契約の話になります。
ここでも工程の整理がそのまま使えます。
経済産業省の「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」は、従来型のソフトウェア開発では工程に応じて契約を分けるのが一般的だと整理しています。
企画・要件定義の段階では、開発の対象となるソフトウェアの具体的内容がまだ十分に特定されていないため、準委任型の契約。
設計・開発の段階に移ると対象の具体的内容が特定されているため、ソフトウェアの完成までを目的とした請負型の契約が多いとされています。
(出典: AI・データの利用に関する契約ガイドライン — 経済産業省)。
つまり従来のシステム開発では、上流の工程は「かけてもらった作業に対して払う」形になり、下流の工程は「できあがったものに対して払う」形になります。
ところが、学習済みモデルを作る場合は事情が変わります。
同ガイドラインは、学習済みモデル生成の場合はどの段階においても準委任型の契約が適しているとしています。
理由は2つ挙げられています。
1つは、契約締結時までに仕様や検収基準を確定することが難しいことが多いこと。
もう1つは、学習させたことのない入力が来たときに、モデルが発注側にも開発側にも想定外の動きをしないと保証するのが困難であることです。
そのため、具体的な仕事の完成を目的とし、一定の担保責任を伴う請負型の契約にはなじみにくい、と結論づけています。
ここが、発注側の期待とすれ違いやすい場所です。
発注側には「一定レベルのものを完成・納品してもらいたい」という期待があり、開発側には「そもそもユーザの求める目的に合致する学習済みモデルを作成できるかどうかはやってみないとわからない」という前提があります。
同ガイドラインは、この両者の期待を並べたうえで、相互理解と調整が必要だと整理しています。
PoCで本番移行の可否を判定するためにも、契約側に書き込んでおくものがあります。
1つが、PoC段階の対象範囲と対象期間です。
PoCは試行錯誤を避けられないため、1回で完結せず複数回実施されることも少なくありません。
「PoCをやります」とだけ決めて始めると、どこまでを1回とするのかが曖昧なまま回数だけが増えていきます。
もう1つが、PoC段階とその後の開発段階で、扱いを統一する事項と個別に決める事項を整理しておくことです。
検証のために提供したデータや、成果物である学習済みモデルの権利帰属・利用条件について、各段階の取扱いをあらかじめ検討しておくことが望ましいとされています。
実行の工程まで進むと、成果物が誰のものになるのかという論点が出てきます。
AI導入で生まれるものは、法的な性質が同じではありません。
開発の過程で扱うものを2つに分けて整理します。
プログラム
プログラムの著作物や発明として著作権法や特許法の対象となり得ます。
この場合は、当事者が何も決めなかったときに適用される法律上の原則があるので、それを踏まえて契約で修正するかどうかを検討することになります。
データとノウハウ
プログラムに対してデータとノウハウは、知的財産権の対象とならず、法律上の原則もない場合が多く、所有権の対象にもならないため、現実にアクセスできる者が利用可能な状態になります。
つまり、自社が渡したデータや、支援を通じて生まれたノウハウは、契約で利用条件を定めなければ、相手が使える状態のままになります。
経済産業省のガイドラインでは、利用条件の交渉ポイントとして、利用目的を契約に規定された開発目的に限定するか否か、利用期間、利用態様(複製・改変・リバースエンジニアリングを認めるか)、第三者への利用許諾や譲渡の可否と範囲を挙げています。
契約実務そのものについては、経済産業省が2025年2月に「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」を公表しています。
想定読者として、社内法務部や顧問弁護士に加えて、ビジネス部門の担当者が契約についての初期的な検討を行う場面が明示されており、法務の専門家でなくても読める形式になっています(出典: 「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」を取りまとめました — 経済産業省)。
このチェックリストは、AIシステムの開発を伴わない既存のAIサービスを利用する「利用型契約」と、ソフトウェアやデータベース、システムの開発を伴う「開発型契約」の2つを対象としています。
前の章で見た重さの段階でいえば、第1段階と第2段階は「利用型」、第3段階と第4段階は「開発型」に当たります。
自社が目指す段階を決めておくと、読むべき契約条項の範囲まで絞れるということです。
重さ、工程、依頼先をきちんと整理した上で適した契約を選択しましょう。
工程ごとに、依頼先と契約形態の確認をすすめると、最後にもうひとつ、見落としやすい落とし穴が出てきます。
それは、工程と工程の「つなぎ目」です。
AI導入の現場を支援する立場からいくつかのプロジェクトを見ていると、頓挫が起きるのは、ひとつの工程の中というより、担い手が切り替わる継ぎ目であることが少なくありません。
たとえば、戦略コンサルが立派な構想の報告書をまとめ上げたとします。
けれども、それを受け取って実装する別のベンダーに渡した段階で、「この戦略は、うちの現場の実際の流れに合っていない」と気づきます。
構想と実行の担い手が分かれていて、両者の間に業務プロセス設計という橋がかかっていなかったために、報告書が報告書のまま終わってしまうのです。
「だいたいこういうものを作ってほしい」と要件の固まりきらないまま開発会社に渡すと、たしかに動くものは出来上がります。
けれども、現場の運用には乗らず、結局使われない。
要件定義と実装はつながっていても、その手前の業務プロセス設計や、その後の定着の工程が誰の担当でもなかったために、「ツールは入ったが使われない」状態に陥ります。
つまり、それぞれの工程を誰かが担っていても、工程の受け渡しに責任を持つ人がいなければ、つなぎ目に溝が生まれるということです。
依頼先を選ぶとき、各社の得意工程を確かめるのと同じくらい、「自社が必要とする工程の受け渡しが、誰の責任で、どうつながれるのか」を確かめておく必要があります。
カバーしている範囲が広い依頼先であれば、このつなぎ目の溝は生まれにくくなります。
構想から実装までを同じ担い手が続けて見られるぶん、受け渡しのたびに認識がずれる余地が小さくなるからです。
ただし、前の章で触れたように、広く担えることと、それぞれの工程を深く担えることは、別の問題です。
一社にまとめて任せて継ぎ目を減らすのか、工程ごとに専門家を選んで深さを取るのか。
どちらを選ぶにしても、つなぎ目を誰がどう埋めるのかは、契約の前に必ず確認しておきたい論点です。
複数の依頼先を組み合わせるなら、その継ぎ目を自社の誰かが責任を持って握る、という覚悟がいります。
看板の違いであって、明確な線引きがあるわけではありません。
担う工程で見ると、「AI開発会社」を名乗る事業者は実装・定着を中心とした右側の工程に強く、「AI導入支援」を名乗る事業者には、目的設定や業務プロセス設計といった左側の工程から入る会社が含まれます。
どちらの名前で呼ばれているかではなく、先ほどの工程の表に当てはめて、どこからどこまでを担えるのかを見ることになります。
最初の基準は、自社に必要な工程と、その会社の得意工程が重なっているかどうかです。
そのうえで、看板やタイプ名からは実際の守備範囲が読み取れないため、過去の事例・実績と、もともと何を強みに育ってきた会社なのかという背景を確かめます。
第3段階・第4段階を目指すのであれば、契約の形(準委任型か請負型か、準委任なら成果完成型か履行割合型か)と、成果物の権利帰属をどう決めるつもりかも、選定の段階で聞いておく論点になります。
工程に分解して依頼先の得意工程と突き合わせる、という考え方は変わりません。
違いが出るのは構想の工程で、「どの業務を任せるか」の切り分けが、通常のAI導入より細かくなります。
任せる範囲が広いほど、実行の工程で必要になる要件定義とデータ整備の量も増えます。
工程単位で分けて考えるのが現実的です。
目的設定と対象業務の選定は、自社の業務を知っている人でなければ決められないため、外に出しにくい工程です。
一方でデータ整備や実装は、社内に専任の人材がいなければ外部の力を借りる判断になりやすい工程です。「全部やるか、全部任せるか」ではなく、工程ごとに線を引く判断になります。
あらためて、AI導入会社を選ぶうえで知っておくべきことは、どんな会社にも得意な工程と不得意な工程があり、すべてを高い水準でこなせる相手はとても少ないということです。
だからこそ、AI導入を工程に分解し、自社に必要な工程と相手の得意工程を突き合わせることが、選定の本質になります。
各社の話がバラバラに聞こえるのは、どこかが間違っているからではなく、各社が得意とする工程が違うからでした。
「AI導入」をひとかたまりで捉えず、まず自社が目指す重さの見当をつけ、構想・設計・実行の工程に分解する。
その上に依頼先タイプの得意・不得意を重ね、どの工程を誰に頼むかを突き合わせる。
タイプ名を鵜呑みにせず、相手が各工程を実際に担えるのかを実績や背景で確かめ、工程と工程のつなぎ目を誰が握るのかまで見届ける。
その意識をもった状態で各社と話せば、どこが自社に合うのかは、これまでより見極めやすくなっているのではないでしょうか。
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