
# AI開発
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私たちDeflagは、企業の営業や日々の業務にAIを組み込む「AIインテグレーション」をサービスとして提供しています。
ただ、その仕組みを顧客に届ける前に、決めていることがあります。
まず、自社のあらゆる業務で人柱になる。
私はもともと、ゲームやSaaSの開発と運用をやってきました。どちらの世界でも、ずっと大事にしてきたことがあります。「まず自分で触る」ことです。
作る側が毎日使い倒していないプロダクトは、どこかで嘘になります。
机上できれいな絵を描くより、自分が一番のヘビーユーザーになって、便利さ・面倒くささ・楽しさなどを体で覚えて感じる。
そこからしか、本当に良いものは出てこないと思っています。
これは、AIでもまったく同じです。
自分たちが毎日触って、効くところも危ういところも体感していないのに、顧客に勧めることはしません。
だから私たちは、社内のあらゆる業務をどこまでAIに渡せるかを、ひたすら試してきました。
その結果、はっきり見えてきたことがあります。
大事なのは「どこまで任せるか」ではありませんでした。
「何を渡して、何を握り続けるか」の線引きでした。
AI導入の話は、つい「全部任せられるか」で語られがちです。
全自動、無人化、人がいらなくなる。わかりやすいので、つい期待してしまう気持ちもわかります。
でも、自社で様々な形を試してみて効いたのは、その逆でした。
私たちがAIに渡したのは「記憶と検知」。
覚えること、気づくこと。
握り続けているのは「判断と承認」。
決めること、責任を持つこと。
この線引きさえ守れば、AIは驚くほど頼れます。
逆に、ここを曖昧にすると、静かに事故ります。
誰も中身を確かめないまま記録が更新され続けて、ずれた数字や情報が、いつのまにか会社の判断の土台になっている。そういう怖さです。
何をどう渡したのか、順番に書いていきます。
まず思い切って渡したのが、「覚えること」と「気づくこと」でした。
たとえば、代表電話。
今は一次応答をAIが受けて、話した内容を文字に起こし、誰からの電話かを調べてSlackに流してくれます。
私たちがやるのは、その通知を見て「折り返すかどうか」を決めることだけ。
電話番から人が離れられない、という小さなチームあるあるの縛りが、これでほどけました。
商談や社内の会議も、ほぼ全部録音しています。
AIが文字起こしをして、要点をまとめ、そこから「自分がやりますと言った宿題」まで拾い出してくれる。
会議で口頭で約束して、あとで忘れてしまう。あの気まずさが、ほぼなくなりました。
日々の動きも同じです。
パソコンの操作、Slack、Notion、メール、カレンダー。
一日のうちに散らばった記録を、AIが毎晩集めて日報にまとめ、Slackに投げてくれます。私がやるのは、目を通して ☑ を押すことくらいです。
どれも「覚える」「気づく」の領域です。
人間が一番こぼしやすくて、しかもこぼしたことに気づきにくいところ。
ここは正直、人が頑張るよりも機械に任せたほうがずっと安心でした。
一方で、最後まで人間が握っているものがあります。
「決めること」と「責任を持つこと」です。
たとえば、商談の内容を顧客管理システム(CRM)に入れる作業。
これはAIが下書きをつくります。「この商談はこう進んだので、この項目をこう更新してはどうですか」という提案まで出してくれる。
ただし、実際に反映するかどうかは、Slack上で私たちが項目ごとに承認します。
AIが勝手に書き換えることはありません。
顧客の状況を取り違えたまま記録が進むと、その後の判断が全部ずれていくからです。
ここは、人間が一つずつ確かめます。
契約書も同じです。
打ち合わせの内容から、AIがたたき台をつくる。
たたき台までは、もうほとんど任せています。
でも、結ぶかどうかを決めるのは人間です。
文面に目を通して、責任を持って判断する。
ここはAIに渡してはいけない、と思っています。
「下書きはAI、最終判断は人間」。言葉にすると当たり前です。
でも、この当たり前を仕組みとしてちゃんと守れているかどうかで、安心して任せられる範囲がまるで変わってきます。
この考え方は、現場の業務だけの話ではありません。
経営の数字にも、そのまま当てはまります。
私たちは毎朝、自社の損益(P/L)が自動で最新になるようにしています。
実績の数字と、営業側の見込みの数字を突き合わせて、「失注したのにデータ上は案件が残っている」「金額が合っていない」といったズレを、AIが先に見つけてくれる。
人間が目で探すと見落としがちな間違い探しを、毎朝AIが済ませておいてくれるイメージです。
ただし、その数字をどう読むか、次に何の手を打つかは、人間が決めます。
ここでも役割は同じです。検知はAI、打ち手は人間。
正直に言うと、最初からうまくいったわけではありません。
何度か、ひやりとしました。
一度、AIに任せた依頼を「対応済み」とチェックしたのに、数日後に同じ依頼が戻ってきたことがありました。
人間が片付けたつもりでいたことと、AIが覚えていたことが、ずれていたんです。
「任せた気」になっていただけで、本当の意味では握れていなかった。
もうひとつ意外だったのは、自動化でつまずく原因の多くが、AIの賢さとは関係ないところにあったことです。
手で動かせば普通に動くのに、自動にした途端、ちょっとした環境の都合で止まる。派手な失敗ではありません。
でも、この地味なところの積み重ねが、いちばん手間がかかりました。
こういう経験を重ねるたびに、「やっぱり、決めることと責任は人間が握っておくべきだ」という確信が強くなっていきました。
ここまで書いてきましたが、私たちのやり方が完成しているわけではありません。
たとえば勤怠は、今まさに整備しながら、少しずつ便利にしている最中です。
わざわざ打刻アプリを入れるのではなく、もともと社内に根づいているSlackの習慣にそのまま乗せる形で、無理なく記録できるようにしています。
経費精算のように、まだ一部は手で動かしている業務も残っています。
それでもいいと思っています。
全部を一気に変えるのではなく、渡せるところから渡して、握るべきところは握る。試しながら、少しずつ広げていく。
その途中の景色を、正直に見せておきたいと思いました。
「自社でも始めたいけど、何から渡せばいいですか」と聞かれることがあります。
私はいつも、こう答えています。
まずは「覚えること」と「気づくこと」から渡してみてください、と。
議事録、日報、記録の整理、抜け漏れのチェック。
このあたりは、任せても大きな事故になりにくく、効果もすぐ実感できます。
逆に、お金や契約、顧客への約束のように「決める」「責任を持つ」が伴う仕事は、最初は人間に残しておく。
この順番なら、無理なく、それでいて着実に、任せられる範囲が増えていきます。
いきなり全部を変えようとして動けなくなるより、ずっと現実的です。
自社のあらゆる業務をAIに渡せるか試してきて、たどり着いたのは、とてもシンプルな結論でした。
AIに渡すのは「記憶と検知」。人間が握るのは「判断と承認」。
覚えることと気づくことは、AIのほうがずっと得意です。だから、安心して任せる。
でも、決めることと責任を持つことは、人間の仕事として残す。
この線引きさえ守れれば、AIは怖い存在ではなく、毎日となりで働いてくれる相棒になります。
そして、この線引きは、誰かの受け売りでは引けません。
自分で毎日触って、効くところも危ういところも体で覚えて、はじめてどこに線を引くかが見えてきます。
ゲームでもSaaSでも、私がずっとそうしてきたように。
私たちは顧客に届けるものを、まず自分たちで毎日使っています。
その実感があるからこそ、自信を持って同じ仕組みをおすすめできます。
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