
# 人材紹介
# データ基盤
# AI導入
# AI
# SFA・CRM
求人原稿や推薦文、面談記録の作成にAIを使うようになり、書類を作る時間は減りました。
それでも、成約数やCA1人あたりの売上は増えていません。
こうした状況に、心当たりはないでしょうか。
弊社がお話を伺った人材紹介会社でも、AIで書類作成の時間は減った一方で、成約数や売上が増えた会社はわずかでした。
その理由は、人材紹介のAI活用が業務効率化で止まる理由|面談設定率・応募率が上がる会社は何をしているかで整理しています。
業務効率化は進んでいるという会社の方々からよく伺うのは、AIと自社に蓄積したデータを使って成約を増やしたいものの、どんなデータが必要か分からない、という悩みです。
特に多いのが、求人提案の質を上げたいという声でした。
提案が内定の出やすい企業の求人に寄ってしまう、どの経歴の求職者ならどの企業の選考に通るかが担当のCAにしか分からない、導入したマッチングAIが挙げる求人がCAの感覚と合わない、といった悩みからくるものです。
どの求職者にどの求人を出せば、応募してもらえて選考にも通るのか。
その判断が経験のあるCAに頼ったままで、人を増やしても新人に引き継げていません。
本記事では、求人提案に必要なデータをどこから集め、どう記録し、どう使うかを整理します。
求人提案の質は、求職者が「応募したいか」「企業の選考に通るか」の2つに分けられます。
まずは、求人提案の質が影響する指標から確認します。
成約数は、求職者の登録から面談、求人提案、応募、選考通過、内定承諾へと進む各段階の割合によって決まります。
このうち求人提案の質が影響するのは、応募率・選考通過率・承諾率の3つです。
求職者が応募したいと思わない求人をCAが出しても、求職者は応募しません。
応募したとしても志望度が低いため、選考の途中で辞退したり、内定を承諾しなかったりします。
「応募したいか」は、応募率と承諾率に影響します。
求職者が企業の選考基準を満たしていないのに、その企業の求人を提案すると、書類選考や面接で落ち、選考通過率が下がります。
CAが「企業の選考に通るか」だけで求人を選ぶと、内定が出やすい企業の求人ばかりを提案することになります。
反対に、「応募したいか」だけで求人を選ぶと、人気の求人に応募が集まります。
弊社が、幅広い職種のミドル層を扱う中堅人材紹介会社の求人と応募のデータを分析したところ、応募数が多い上位10%の求人に、応募全体の約80%が集まっていることが判明しました。
対象は、ある時点で募集していた約1,600件の求人と、その後1年間にそれらの求人に集まった応募です。
1件の求人に応募が集まれば、そのぶん書類選考で落ちる求職者も増えます。

自社の課題が「応募したいか」「企業の選考に通るか」のどちらにあるかは、次の4つの割合をCAごとに出すと確認できます。
割合 | 数値が低いときの課題 |
|---|---|
提案した求人のうち、応募に進んだ割合 | 「応募したいか」 |
応募のうち、書類選考に通った割合 | 「選考に通るか」 |
書類選考に通ったうち、内定に至った割合 | 「選考に通るか」 |
内定のうち、承諾に至った割合(選考中の辞退も合わせて見る) | 「応募したいか」(応募したときの志望度が低い) |
提案の記録が残っていない会社は、提案から応募に進んだ割合の代わりに、面談した求職者のうち応募まで進んだ割合を見ます。
直近1か月にLINEやメールで求職者に送った求人を数え、提案件数として使う方法もあります。
弊社がお話を伺った会社では、求職者や求人のデータはあっても、提案の判断に必要なデータが使える形で残っていないケースが多く見られました。
求職者の希望条件の優先順位や転職理由などが、簡単に検索できる形では残っていないケースです。
ハイクラス向けの小規模人材紹介会社では、面談の録画と文字起こしを各CAの個別の保存先に置いていました。
希望年収はAIに聞けば分かるものの、1人ずつ確認するには時間がかかっています。
先ほどと同じ会社では、企業が重視する経験や採用状況が記録されていませんでした。
30〜40名の求職者の情報を週1回の会議で読み合わせ、そのときの記憶をもとに提案を判断していました。
ミドル層を扱う中堅人材紹介会社では、提案した求人の記録はあっても、提案の理由や求職者とのやり取りは残っていないという状況でした。
選考結果の理由も選択式で、企業が書いた原文は残っておらず、「求人が悪い」「CAが悪い」「求職者が悪い」と、原因を互いのせいにする議論になっていたそうです。
こうした背景には、記録する項目やCA/RAの担当が曖昧なこと、情報が複数のシステムに分散していることが考えられます。
原文を書く欄がないことや、入力しても次の提案に活かされないことも、記録が溜まらない原因です。
提案に必要なデータを集める際も、「応募したいか」「企業の選考に通るか」を起点に考えます。
データは、CAが毎日使うシステムに、「求職者」「求人・企業」「提案・選考」の3つの記録として残します。
以下は人材紹介事業がマッチングの精度を高めるために溜めるべきデータの単位(エンティティ)一覧です。
単位(エンティティ) | 記事の3つの記録 | 1件の単位 | 項目数 | 紐づく先 | 説明 |
|---|---|---|---|---|---|
企業 | 求人・企業 | 企業1社につき1件 | 8 | ― | 求人を出している企業。業界・規模・社風など、企業全体に共通する情報 |
採用窓口 | 求人・企業 | 採用担当者1人(または部署)につき1件 | 5 | 企業 | 企業側で採用を担当する人・部署。その人が選考で見ている点 |
契約 | その他 | 企業との契約1本につき1件 | 4 | 企業 | 企業との紹介契約。手数料や返金の規定 |
求人 | 求人・企業 | 求人1件につき1件 | 28 | 企業・採用窓口 | 求人票の内容に加えて、RAが聞いた実質の要件や採用の状況 |
個人連絡先 | 求職者 | 求職者1人につき1件 | 6 | ― | 求職者の氏名・連絡先・住所など、経歴以外の個人の情報 |
求職者 | 求職者 | 求職者1人につき1件(応募ごとに分ける場合もある) | 23 | 個人連絡先 | 求職者の経験と希望。希望条件の優先順位、転職理由の本音、経験の中身 |
選考プロセス | 提案・選考 | 「この求職者にこの求人」の組み合わせ1つにつき1件 | 15 | 求職者・求人 | 推薦の前の提案から、承諾・辞退・不合格までの段階と理由 |
成約 | 提案・選考 | 成約1件につき1件 | 6 | 選考プロセス | 入社日、決定年収、手数料、入社後の定着 |
対応履歴 | その他 | やり取り1回につき1件 | 4 | 各単位 | 面談・電話・メール・企業との打ち合わせの記録。AIが項目を取り出す元 |
社内担当者(CA・RA) | その他 | 担当者1人につき1件 | 6 | ― | 自社のCA・RA。担当者ごとの割合を出し、担当を割り当てる |
そして、上記の各単位(エンティティ)に設定すべき項目を、「応募したいか」「企業の選考に通るか」に分けて考えます。
「応募したいか」を判断するデータは、求職者本人しか知りません。
CAが面談で聞き取る内容と、記録方法は次のとおりです。
応募したいかに含まれる30項目のうちの一例
CAの判断 | データ | 記録する内容 | 求人・企業の記録で対にするデータ | 影響する指標 |
|---|---|---|---|---|
どの希望条件なら、満たしていなくても求人を提案できるか | 希望条件の優先順位 | 年収・勤務地・働き方などの条件ごとに「譲れない」「できれば」「妥協できる」から選ぶ。 | 年収の幅、勤務地、働き方(残業・リモート・休日) | 応募率 |
求人のどこを伝えるか | 表向きの転職理由と本音 | 表向きの理由と本音をそれぞれ選択肢から選び、求職者が話した内容をそのまま記録に残す。 | その求人で応えられる転職理由と、その根拠(評価・昇給の仕組み、配属先の様子など)。 | 応募率・承諾率 |
条件が同じ求人のうち、どれを先に出すか | 仕事選びで重視すること | 「お金」「成長」「安定」から一番重視するものと二番目を選び、根拠になった発言を残す。 | お金・成長・安定のどれに強い求人か。 | 承諾率 |
「企業の選考に通るか」は、求職者の職務経験と、企業が実際に重視している基準を照らし合わせて判断します。
企業の選考基準は、求職者との面談では分かりません。
選考結果の連絡や企業とのメール、企業との打ち合わせで聞いた話から把握します。
企業の選考に通るかに含まれる30項目のうちの一例
CAの判断 | データ | 記録する内容 | 影響する指標 |
|---|---|---|---|
この経歴で、企業の要件を満たすか | 経験の中身 | 業界・職種と年数・役割・マネジメント経験(なし/1〜4名/5名以上)・担当した顧客の規模は、求人側と同じ選択肢から選ぶ。 | 選考通過率 |
この企業は何を理由に不合格とするか | 実質の必須要件・避ける経歴 | 求人票には書かれていないが選考で見ている条件(実質の必須要件)と、不合格になりやすい経歴(避ける経歴)を、求職者側と同じ選択肢で残す。 | 選考通過率 |
今、この求人を提案する意味があるか | 採用の状況 | 「急募」「通常」「充足」から選び、募集を始めた日、残りの採用人数、更新日を残す | 選考通過率 |
似た経歴の人は、過去にこの企業の選考に通ったか | 過去の選考通過者・不合格者の経験 | 改めて1件ずつ入力せず、提案・選考の記録を集計して求人の画面に表示する | 選考通過率 |
実質の必須要件や避ける経歴は、求人票の項目にはないため記録する欄を新しく作ります。
これらの情報や採用の状況は時期によって変わるため、記録した日も一緒に残します。
いつ確かめた情報かが分からないと、CAはその情報を提案に使ってよいかを判断できません。
RAとCAで担当を分けている会社では、RAが記録した求人・企業の情報を、CAが提案のときに見る画面に表示できるよう記録しましょう。念のためですが、本記事での「提案」は、CAが求職者に求人を紹介することで、「推薦」はその後に求職者の書類を企業に提出すること、「見送り」は提案したのに求職者が応募しなかったケースを指しています。
CAは、求職者と求人の記録をもとに、「この求職者はこの求人に応募する」「この求人なら選考に通る」と判断して提案します。
提案・選考の記録は、その判断が合っていたかを結果で確かめるための記録です。
この記録がないと、CAはズレた判断のまま提案を続けることになり、AIに学習させる材料も溜まりません。
提案・選考の記録には、次の4つを残します。
CAが毎日使う求職者・求人の管理システム(基幹システム)にすでに記録されている情報は、再入力せずに使います。
結果で確かめるべき16項目の一例
項目 | 記録方法 | 例 |
|---|---|---|
誰に・どの求人を・いつ・どの手段で・どのCAが提案したか | 求職者と求人に紐づけ、提案日と手段(LINE・メール・電話など)、担当CAを残す。 | ― |
提案した理由 | 求職者に送った文面の中で、CAが理由を書いた部分をそのまま残す。 | 「前職で評価に不満があるとのことでしたので、評価制度が明確なこちらの求人をご紹介します」 |
進んだ段階と日付 | 提案、応募または見送り、書類選考、面接、内定、承諾または辞退の各段階に進んだ日を残す。 | ― |
決まらなかった理由(見送り・不合格・辞退) | 求職者側か企業側かを選び、理由の分類と原文を残す | 見送り「残業が多そう」(働き方)、不合格「5名以上のマネジメント経験が必要」(経験の要件)、辞退「現職に引き止められた」(現職の事情) |
人材業界向けのCRMの設計例では、「候補者推薦」から選考管理を始め、辞退・不採用の理由を必須項目として分類ごとに集計しています。
本記事では、この設計例に次の2つを加えます。
参考: 人材業界のHubSpot活用法(CRMの導入支援会社)
1. 推薦の前の提案から、1件として残す
推薦の段階から記録を始めると、見送りが記録に残りません。
見送りが残らなければ、提案から応募に進んだ割合を出せず、「応募したいか」の予想が外れていたことにも気づけません。
求職者から返信がない場合も、「無反応」として1件残します。
2. 理由は、分類と原文の両方で残す
分類だけで残すと、企業や求職者が実際に何と言ったかが残りません。
原文だけでは、理由ごとの件数を集計して比べられません。
「求人が悪い」「CAが悪い」と原因を互いのせいにしていた中堅人材紹介会社も、理由を選択肢でしか残していませんでした。
原文も残しておけば、「その他」に入る理由が増えたときに原文を読み直し、分類を足せます。
分類だけで残していると、分類を見直す手がかりが残りません。
理由ごとに、分類と、誰がいつ残すかを決めておきます。
決まらなかった理由 | 分類の例 | いつ残すか |
|---|---|---|
見送り | 年収/勤務地/働き方/仕事内容/社風/他社で決まった/無反応 | 求職者から返信を受けたとき。提案から一定期間(例:1週間)返信がなければ「無反応」として残す |
不合格 | 経験の要件/スキル/社風との相性/条件(年収・入社時期)/募集の終了 | 企業から選考結果の連絡を受けたとき |
辞退 | 年収/勤務地/働き方/仕事内容/社風/他社で決まった/現職の事情 | 求職者から辞退の連絡を受けたとき |
ここまでのデータをすべてCAが手入力する前提では、負担が大きく、記録が続かなくなります。
面談の録音や職務経歴書、LINE・メール、企業から届く選考結果、RAと企業の打ち合わせ記録から、AIで必要な情報を取り出します。
ここで想定しているのは、面談の録音が保存されたり、企業からメールが届いたりすると、AIが必要な項目を取り出して基幹システムに書き込む仕組みです。
CAがその都度、AIを操作する必要はありません。
【例】
企業から不合格のメールが届く
AIが、メールの文面から不合格理由の原文を取り出し、分類を付ける
その求職者とその求人の、提案・選考の記録に書き込む
担当者が、書き込まれた原文と分類を確かめる
取り出したデータは、CAが日々の提案で使うシステム1つに集めます。
あわせて、どのシステムの情報を正しいものとして扱うかを1つに決めます。
求人の元情報が外部にある場合も、外部の求人IDを自社の記録にも残し、IDで照合できるようにします。
3つの記録の作り方は、使っているシステムによって違います。
使っているシステム | 3つの記録の作り方 | 理由の分類と原文の残し方 |
|---|---|---|
人材紹介専用のシステム(例:PORTERS) | 求職者・求人・選考を管理する機能が最初からある。PORTERSでは、求人と求職者を紐づけた選考の記録(選考プロセス)に、段階(フェーズ)と日付が残る。 | 選択肢の項目と、複数行のテキスト項目を追加する。 |
汎用のCRM(例:Salesforce、HubSpot) | 企業と採用担当者は、標準の記録(Salesforceの取引先・取引先責任者、HubSpotの会社・コンタクト)で管理できる。 | 選択リスト(ドロップダウン)と、複数行のテキスト項目を使う |
業務アプリ・表計算(例:kintone、Googleスプレッドシート、Notion) | アプリ・シート・データベースを3つ作り、求職者IDと求人IDでつなぐ | プルダウンと複数行テキストの列を使う。 |
参考: 求人管理と求職者管理|PORTERS、フェーズの概要と更新方法|PORTERSヘルプ、Create custom objects|HubSpot、How to use objects for business processes|HubSpot、Custom Junction Object for Job Postings|Salesforce Trailhead、スプレッドシートのテーブル|Google ドキュメント エディタ ヘルプ
あわせて、次の2つを決めておきます。
RA用とCA用に同じ項目を別々に作らず、1つの項目を両方が使う
記録を残す担当を決める(見送り・辞退はCA、不合格は企業とやり取りするRA。担当を分けていない会社はCA)
取り出したデータを書き込めるかどうかは、システムの連携機能によって決まります。
たとえば、PORTERSで外部からデータを書き込むAPI(PORTERS Connect API)は有料オプションで、kintoneのAPIはスタンダードコース以上で使えます(出典: PORTERS 料金表|PORTERSヘルプ、料金|kintone)。
自社で使用しているシステムでどのようにデータを取り出すかは、別途設計が必要になります。
職業安定法は、人材紹介会社が求職者の個人情報を扱うときのルールを定めています。
人材紹介会社は、業務に必要な範囲で、目的を明らかにして個人情報を集めなければなりません。
保管・使用も、その目的の範囲内で行います(出典: 職業安定法(抄)求職者等の情報の取り扱いについて|厚生労働省)。
そのため、AIで取り出したデータの使い道(求人の提案など)が、自社が求職者に示している利用目的の範囲に入っているかを確かめましょう。
求人媒体やスカウト媒体から取得したデータの扱いは、それぞれの利用規約を確かめ、法務の担当者にも確認が必要です。
記録を使って改善するのは、次に提案する求人の選び方とその判断を支える情報です。
CAによる提案からAIの精度改善まで、件数が少なくても取り組めるものから順に紹介します。
同じ求職者に次の求人を提案するときは、見送り・辞退の理由を、求職者の記録にある「希望条件の優先順位」と照らし合わせます。
面談で一度聞いた希望条件が、求職者の本当の優先順位と違っていることがあります。
違ったまま提案を続けると、求職者が応募しない状態が続き、そのまま連絡が取れなくなることも起こりえます。
見送り・辞退の理由が残っていれば、CAは希望条件の優先順位を見直し、2回目の提案に反映できます。
【例】
提案した5件の求人がすべて見送られ、そのうち3件の理由が「残業が多そう」だった
面談では「できれば」に入れていた働き方が、実際は「譲れない」条件だった
CAが優先順位を書き換え、次からは残業の少ない条件を優先的に提案する
優先順位を書き換えた求職者については、CAが面談の録音を聞き直し、なぜ面談で本当の優先順位を聞けなかったのかを振り返ります。
働き方について聞いていなかったのか、聞いたものの求職者が遠慮して「できれば」と答えたのかで、次の面談で改善する内容が違うためです。
あわせて、どの話題から本当の条件を聞き出せたのかも残します。
先の例で、見送りの理由を詳しく聞いたときに「子どもの迎えがあるので、18時には退社したい」と分かったとします。
この場合、本音を聞き出せた話題は家族の予定で、面談では聞いていなかった話題です。
こうした振り返りを溜めると、本音を聞き出せた話題や質問を、ほかのCAも面談で使えるようになります。
確認する指標:応募率・承諾率
不合格理由を企業ごとに並べ、求人・企業の記録にある「実質の必須要件・避ける経歴」を見直します。次にその企業へ誰を推薦するかを判断するためです。
求人票だけでは分からない、企業が選考で重視している点は、不合格理由を企業ごとに並べると見えてきます。
【例】
C社の直近3か月の不合格8件のうち、5件の理由が「前職の在籍期間が短い」だった
RAが、C社の「避ける経歴」に「前職の在籍期間が短い」を追加し、確度を「傾向(不合格理由から)」として記録する。企業に確認した基準とは分けておく。
CAはその傾向を参考に、推薦文で在籍期間が短い理由を補うか、別の企業の求人を提案するかを判断する。
1社につき数件の不合格理由が集まれば、この活用は始められます。
集めた不合格理由は以降、企業に採用要件を確認する際のヒアリング材料にもなります。
確認する指標:選考通過率
この求人を提案するか、どの順番で提案するかを決めるときには、過去の提案・選考の結果を使います。
求職者の「転職理由の本音」と「経験の中身」を手がかりに、似た人への提案結果を確かめます。
成果の高いCAは、「以前に似た経歴の人にこの求人を出したら、こういう結果だった」という経験をもとに求人を選んでいます。
提案・選考の記録があれば、新人のCAも同じ情報を画面で確かめられます。
【例】
今回の求職者は「転職理由が評価への不満、営業経験5年、マネジメント経験なし」
似た経歴の求職者にA社を提案した過去6件のうち、応募して書類選考通過まで進んだのは1件だった。マネジメント経験がある求職者は、A社に応募した4件のうち3件が書類選考に通っていた
似た経歴の求職者にB社を提案した過去5件のうち、4件が応募して書類選考通過まで進んでいた
CAはA社を提案せず、B社を先に提案する
A社への提案6件とB社への提案5件については、提案から書類選考通過まで進んだ件数を比べています。応募件数を分母にする書類選考通過率とは区別します。
求人の画面に、似た経歴の求職者へ同じ求人を提案した結果を表示しておけば、CAは提案前に確認できます。
似た経歴の求職者を探すには、求職者と企業の情報を同じ選択肢で記録しておく必要があります。記録の件数も必要なため、先に紹介した2つの使い方に取り組んだ後で進めます。
確認する指標:応募率・選考通過率
AIが候補に挙げた求人と、CAが実際に提案した求人、その結果と理由を比べます。
責任者が、AIの候補をどこまで信頼してよいか判断するためです。
自社でマッチングAIを作っている場合も、システムに付いているマッチング機能を使っている場合も、進め方は同じです。
責任者は、CAが提案した求人を「AIも候補に挙げていた求人」と「AIは候補に挙げていなかった求人」に分け、応募や書類選考の結果を比較します。
AIが候補に挙げていなかったのに結果が良かった求人は、CAがその求人を選んだ理由を確かめます。
AIを管理する担当者は、その理由を、AIの絞り込みの条件や学習データに加えます。
先に紹介した、ミドル層を扱う中堅人材紹介会社では、導入したマッチングAIが候補に挙げる求人がCAの感覚と合わず、使われなくなっていました。
この会社でも、この記録があれば、どこがずれていたのかを確かめられていたはずです。
AIが応募や選考通過につながる求人を候補に挙げられるようになれば、経験の浅いCAも、成果を上げているCAに近い基準で求人を選べるようになります。
確認する指標:応募率・選考通過率・承諾率
最初に溜めるデータは、自社の課題に関わるもののうち、今ある記録から取り出せるものを1つ選びます。
最初の章で紹介した4つの割合を出し、課題が「応募したいか」と「選考に通るか」のどちらにあるかを確認する
課題改善に必要なデータ、面談の録音・求人を提案したLINE/メール・企業から届いた選考結果・企業の打ち合わせ記録などが、自社に残っているかを確認する
次の表から、最初に溜めるデータを1つ選ぶ
課題がある側 | 数字の出方 | 最初に溜めるデータ | 取り出し元 |
|---|---|---|---|
「応募したいか」 | 提案から応募に進む割合が低い | 希望条件の優先順位 | 面談の録音 |
「応募したいか」 | 内定から承諾に至る割合が低い、選考中の辞退が多い | 転職理由の本音 | 面談の録音、面談後のLINE |
「選考に通るか」 | 応募から書類選考に通る割合が低い | 不合格理由の原文 | 企業からの選考結果のメール |
「選考に通るか」 | 書類選考に通ったうち、内定に至る割合が低い | 面接の評価と不合格理由の原文 | 企業からの選考結果のメール、面接後の企業とのやり取り |
迷ったときは、不合格理由の原文から始めることをおすすめします。
件数が少なくても、同じ企業の不合格理由を並べるだけで、次の提案に使えるためです。
求人提案の質を上げるには、「応募したいか」と「選考に通るか」の両面から自社の課題を確かめ、判断に必要なデータを集めることが必要です。
まずは今ある記録を確かめ、最初に取り出すデータを1つ決めてみてください。
提案の判断をAIに学習させる材料は、自社の提案と選考の記録の中にしかありません。
録音やメールから必要な情報を取り出し、CAが日々の提案に使える場所に残すことから始めます。
Deflagでは、人材紹介会社の業務プロセスと記録の状態を整理し、どのデータを残し、どこにAIを組み込むかを決めるところから、実装と効果の検証までを支援しています。
自社のデータをどこから整えればよいかを一緒に考えたい方は、ぜひ一度お話を聞かせてください。

知見・コラム
コラム
キャリアカウンセラーはAIに置き換わるのか|AIに任せる仕事と、人が上げる転換率
9月、ある採用サービスが4,000万ドルを調達しました。求職者と企業の両方にAIをつける、Jack & Jillというサービスです。求職者の側には「Jack」というAIがついて、経験や希望を聞き取ります。企業の側には「Jill」というAIがついて、求人票を読み、その仕事で活躍する条件を詰めま...
知見
人材紹介のAI活用が業務効率化で止まる理由|面談設定率・応募率が上がる会社は何をしているか
▶ Deflagの【人材紹介AI活用事例集】をダウンロードする2026年、AIをまったく使っていない人材紹介会社は、ほとんどありません。議事録や求人原稿、推薦文、職務経歴書の作成には、多くの会社がAIを使っています。DeflagがこれまでAI活用の相談やヒアリングで話を伺った人材紹介会社の...
コラム
AIのモデルに依存しない、シゴデキAIのつくり方
AIに仕事を頼んで、返ってきたものを直す。その修正や判断を次AIに依頼する仕事にも引き継げれば、同じ説明を繰り返さずに済みます。私は、ClaudeのチャットからコマンドでAIを呼び出して社内の資料や議事録について質問したり、Claude CodeやCodexのAIエージェントに手順書に沿って文章作成...
記事一覧へ
お役立ち資料
営業部門のAIエージェント活用ガイド|営業現場が変わる10の業務
ダウンロード
お役立ち資料一覧を見る
Contact
まずはお気軽にご相談ください

