
# AI導入
# 営業マネージャー
# AI
DeflagでCROをしている、岩瀬です。
この記事は、AIをもう入れた。でも、なんだか成果につながっている実感がない…。
そんな手応えのなさを抱えた、営業やマーケの現場のリーダーに向けて書いている。
読み終わる頃には、「足りなかったのはAIそのものではないかもしれない」と、少し景色が変わるはずだ。
いろいろな会社の方と、営業やAIの話をする。
そのたびに、判で押したように返ってくる言葉がある。
「AI、入れたんですけどね。」
そのあとに続くのは、たいてい同じだ。
「正直、P/Lには、まだ効いてる感じがしないんですよ。」
業種も規模も違う。なのに、出てくる言葉はほとんど同じ。
これはもう、個社の事情というより、時代の踊り場みたいなものだと感じている。
実際、これは私の肌感だけの話ではない。
PwC Japanの調査でも、日本企業の生成AI導入率は5カ国の中で平均的な水準まで来ている一方、「効果が期待を上回った」と答えた企業はごく一部で、「期待を下回った」がむしろ増えている、という結果が出ている(出典: PwC Japan「生成AIに関する実態調査 2025春」)。
入れた。でも、動いていない。
この静かなズレが、いま、あちこちで起きている。
ここで、少し違う角度から見てみる。
うまくいっていない、と言う会社にも、たいてい「AIを使い倒している人」は、ちゃんといる。
議事録をあっという間に整え、提案の壁打ち相手にして、リストの温度感まで読ませている。
一人か、二人。社内で「AI強い人」と呼ばれている、あの人たちだ。
問題は、その先だ。
その人のうまさが、隣の席に伝わらない。チームに広がらない。
ましてや、組織全体の数字にはつながっていかない。
先ほどのPwCの調査でも、生成AI活用の課題の1位は「リテラシー・スキルの不足」で、7割を超えていた。
つまり、多くの現場で起きているのは「AIが使えない」ではなく、「使える個人」のところで止まっている、ということなのだと思う。
道具の性能の問題ではない。使う人の、格差の問題。
そして格差は、放っておくと縮まらない。
むしろ、できる人はもっとできるようになり、差は静かに開いていく。
そして、「できる個人」に頼った組織は、思っているより脆いものだ。
その人が忙しくなれば、AI活用はそこで止まる。
その人が異動したり、辞めたりすれば、ノウハウごと消えていく。
一人のうまさは、組織の力とは違う。
いま本当に開こうとしている差は、AIを入れた会社と入れていない会社の差ではないのだと思う。
「できる個人」に頼っている組織と、「組織で回せる」組織の差。
同じAIを触っていても、1年後にはまるで違う景色になっている。
そんな予感が、現場を回るほどに強くなっている。
この「個人止まり」の状態を、どうにか組織の話に引き上げたい。
そう思って、一つ、腹を決めてやったことがある。
8月18日に、「Sales Data × AI Conference」というオンラインカンファレンスを、Deflag主催で開いた。
無料で、8人の登壇者に集まっていただく企画だ。
準備の手間だけを考えれば、割に合わない、と言う人もいるかもしれない。
それでもやろうと思ったのは、一つの願いからだった。
AI活用を、「できる個人」の武器で終わらせず、組織で使える状態へ。
その最初のきっかけを、どこかで作りたかった。
自社のサービスを売り込む場、というより。
同じ踊り場に立っている人たちが、次の一歩の輪郭を掴むための場。
そういうものを、一度ちゃんと置いてみたかったのだと思う。
だから、登壇者もDeflagだけで固めることはしなかった。
基盤、AI実装、組織、データ連携。
それぞれの領域で実装を通ってきた方に、それぞれの言葉で話してもらう。
一社の正解を配る場ではなく、いくつもの角度から光を当てる場にしたかった。
「組織で使える状態」への道は、たぶん一本道ではないからだ。
自社の状態も、お客様との関係も、会社の数だけ違う。
だからこそ、答えを渡すのではなく、考える材料を渡したい。
そんな設計に、自然となっていった。
このカンファレンスは、8つのセッションで構成している。
一見すると、登壇者もテーマもバラバラだ。
基盤の話、AI実装の話、組織変革の話、データ連携の話。
でも、並び順には、私なりの設計意図を通した。
まず、外の変化と、内の変化に、どう手を伸ばすか。その「考え方」から入る。
次に、それを支える「基盤」。
そして「技術」、さらに現場で効く「ノウハウ」へと、順番に降りていく。
考え方 → 基盤 → 技術 → ノウハウ。
抽象から具体へ、きれいに積み上がるように並べたつもりだ。
登壇いただく方々も、それぞれの層で、本物の実装知を持っている方ばかりだ。
基調講演から、データ、AI実装、アウトバウンド設計、SFAの定着まで。
どのセッションも、机上の戦略論ではなく、現場を通ってきた言葉になっている。
そこは、主催者として静かに誇りに思っている。
ここまで読んで、少し不思議に思うかもしれない。
考え方、基盤、技術、ノウハウ。
そんなに丁寧に積み上げて、最後にたどり着く結論は何なのか、と。
私が最後のセッションに置いたのは、「人」の話だった。
どれだけ基盤を整えても、どれだけAIで狙いを定めても。
それを実行するのが人でなければ、成果は出ない。
AIとデータの祭りをやっておいて、着地は原点回帰。
そう言われると、矛盾しているように聞こえるかもしれない。
でも、私はこの矛盾を、矛盾のまま出したかったのだ。
AIを突き詰めれば突き詰めるほど、最後に残るのは、「人が動けるかどうか」だと感じているから。
AIが仕事を奪う、という話ではない。
AIで浮いた時間と、AIが整えた土台の上で、人がどこに向かって動くのか。
組織でAIが効く、というのは、たぶんその一点に尽きるのだと思う。
「人が動ける」というのは、精神論ではない。
AIが議事録を巻き取り、データを整え、次の一手の候補まで並べてくれる。
そうやって浮いた時間と、揃った土台の上で。
人が、迷いなく「次はここに行こう」と踏み出せる状態。
そこまで設計できて、はじめて数字が動き始めるのだと感じている。
裏を返せば、基盤も技術もノウハウも、人が動くための「助走」なのだと思う。
助走だけを立派にして、肝心の走る人を置き去りにしていないか。
自戒も込めて、そこを一番問いたかった。
技術の話に見えて、本当は、人と組織の話。
このカンファレンスで一番伝えたかったのは、そこかもしれない。
Sales Data × AI Conferenceは、9月9日開催、アーカイブ配信だ。
参加は無料で、都合のいい時間に、少しずつ観ていただける。
私自身も、セッション3「逆算で描く営業基盤の再設計」で登壇する。
「個人の武器」を、どう「組織の力」に変えていくか。
その逆算の道筋を、私なりの言葉でお話しするつもりだ。
「AIは入れたのに、まだ動いていない気がする。」
もし、この記事を読んでそんな感覚が少しでも動いたなら、9月9日、画面の向こうで、一度お会いできたら嬉しい。
▼ 開催概要・お申し込みはこちら
https://deflag.net/data_ai_conference
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