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【2026年 独自調査】生成AIでの業務効率の限界|「点のAI活用」から「線のAI活用」への移行

2026/7/8

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ChatGPTのアカウントを全社に配った。CRMにAIが搭載された。議事録AIを導入した。
しかし経営層から「で、AIの効果は?」と聞かれたとき、「個人作業は速くなりました」としか答えられない。部門としてのROIを数字で示せないまま、次の投資判断を迫られている。

生成AI導入を推進してきた方が、いま直面しつつある状況ではないでしょうか。

本記事では、個人の作業速度は上がったが、業務プロセス全体の時間構造は変わらない状況の構造的理由を、独自調査データで確認したうえで、「業務プロセス(線)のAI活用」への移行判断軸を記載します。

生成AI導入は進んだが、「期待を大きく超える効果」は4%

まず、生成AI導入の状況を確認します。

日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の『企業IT動向調査2025』によると、言語系生成AIの導入企業(準備中含む)は41.2%まで達しています。(出典: JUAS 企業IT動向調査2025 速報値)。

生成AIの導入は着々と進んでいる一方で、問題は、その効果です。
同調査で導入済み企業(n=396)に効果を尋ねたところ、「期待を大きく超える効果があった」と回答した企業はわずか4.0%でした。
「概ね想定どおり」33.1%、「期待値には至っていないが一定の効果はあった」36.1%と、何らかの効果を実感している企業は合計73.2%に上るものの、「期待を大きく超えた」と言い切れるのはごく一部にとどまっています。

さらに注目すべきは、効果測定そのものを行っていない企業が59.8%に上るという事実です。
効果を「測れていない」企業が6割。「効果が出ていない」以前に、「効果を測る手段がない」状態が大半を占めています。

経営層から「AIの効果は?」と問われたとき、「個人作業は速くなりました。」しか言えない状態は、上記の数字からも現れている状況だと考えます。

独自調査が示した事実。生成AIを使っても、営業の業務時間構造は変わらない。

では、営業組織に絞ったとき、生成AIの導入は業務時間の使い方をどれだけ変えたのか。
ここからは、独自調査『営業AI白書2026』のデータを使って確認していきます。

調査概要

『営業AI白書2026』は、年商100億円未満の中堅・中小企業の営業職に従事する会社役員・会社員(N=616)を分析対象に、業務時間の構造とAI活用の実態を調査したものです。
業務別の時間は、月間合計労働時間で割った加重平均で算出しています。

「生成AI」と「AIエージェント」とは

ここから先、本記事では「生成AI」と「AIエージェント」という2つの存在が登場します。

生成AIは、人間が指示を与えると文章や資料などのコンテンツを作ってくれるツールです。
提案書のたたき台を作る、議事録を要約する、メールの下書きを生成するといった、1つの作業を人の指示のもとで代行する使い方が中心になります。

AIエージェントは、目的を与えると複数の手順を自律的に判断・実行する仕組みです。
たとえば「今週の商談リストを作って、それぞれに初回メールを送る」といった、一連の業務フローをまとめて処理する点が生成AIとの違いです。

言い換えれば、生成AIが「点のAI活用」であるのに対して、AIエージェントは「線のAI活用」を担うと言えます。

生成AI活用群とAI未活用群で、営業事務の時間比率はほぼ変わらない

それでは、白書の調査結果を見ていきます。

本記事で着目するのは、企業を「AI未活用群」「生成AI活用群」「AIエージェント活用群」の3群に分けて業務時間構成を比較したデータです。

集計対象:年商100億円未満の中堅・中小企業の営業職に従事する会社役員、会社員。うち、業務時間の異常値回答を除外集計方法:AI未活用群(N = 362)、生成AI活用群(N = 115)、AI エージェント活用群(N = 18)各対象者の業務時間の加重平均で算出

結果は明確です。
AI未活用群と生成AI活用群とで業務時間構造を比較しても、営業事務(ノンコア業務)時間比率に大きな変化は見られません。

生成AIを使っている営業職も、使っていない営業職も、営業事務に費やす時間の割合はほぼ同じ水準です。

生成AIは議事録の要約やメールの下書きといった個別の作業で活用が進んでいる一方で、部門全体の業務時間構造を変えるところまでには至っていないということが、白書が示した事実です。

なお、AIエージェント活用群(N=18)は営業事務時間比率が低い傾向が見られますが、Nが18と少なく参考値の扱いとなっています。この数字の解釈については本記事の後段で触れます。

なぜ比率は変わらないのか。生成AI導入の構造的問題とは。

生成AIを導入して個人作業は早くなっている感覚はあるのに営業事務時間比率は変わらない。
この結果には、構造的な理由があると考えます。

個別作業が速くなっても、業務プロセスの「つなぎ」は人のまま

議事録AIが商談の内容を要約してくれる。
しかし、その要約を踏まえたフォローメールは人が作成します。(もしくはAIに新しく依頼。)

生成AIが提案書のドラフトを作ってくれる。
しかし、ドラフトの修正と内容の確からしさの確認が残ります。

CRMへの入力をAIが補助してくれる。
しかし、入力されたデータの確認・修正、未入力箇所への記入は人が行います。

これが生成のAI導入の構造です。
個々の作業は速くなっても、作業と作業をつなぐ工程「確認、判断、転記、すり合わせ」は従来の人手のまま残っています。

業務時間構造が変わらない理由は、個別の作業時間が短縮されても、業務プロセス全体を構成する「つなぎ」の時間が残っているからです。

時間比率に変化が現れたAIエージェント活用

一方で、AIエージェント活用群(N=18、参考値)には営業事務(ノンコア業務)時間比率が低い傾向が見られます。
AIエージェントは「目標を与えると複数の作業を自ら判断し、一連の業務プロセスを通しで実行する」仕組みです。
Nが少ないため断定はできませんが、業務プロセスへのAI活用が時間構造に影響を与えうる可能性を示唆するデータではあります。

生成AIと比較すると、AIエージェントは業務プロセス自体を自動化するため、生成AI活用で発生していた「つなぎ」がありません。

人の作業は「確認」と「承認」の最小限の作業のみになります。

この構造の違いが、業務時間シェアに変化が現れるか・現れないかの差になっていると考えます。

「点のAI活用」から「線のAI活用」へ

ここまでの内容を踏まえ、「点のAI活用」と「線のAI活用」の違いを整理します。

点のAI活用とは、生成AI・AIツール・AI搭載CRMなど、個別のツールを導入することです。
対象は個人の作業であり、個人の作業速度が上がります。
しかし、業務プロセスの流れの中に、作業と作業のつなぎが発生してしまうため、部門全体の業務時間構造は変わりません。

線のAI活用とは、AIエージェントを組み込んだ業務プロセスの再構築による、一連の業務の自動化です。
対象は業務プロセス全体であり、人の介入が最小限になります。

つまり、営業組織の時間構造を変えたい場合はAIエージェント活用に踏み込む必要があるということです。

AIエージェント活用を進めるために

AIエージェント活用である「業務プロセスの再構築」と聞くと、大掛かりに聞こえるかもしれません。

ただ、本記事で言っていることは「いまの業務の流れを、一つひとつの工程に分解して、どの工程を人がやり、どの工程をAIに任せるかを決め直す」ということです。
全社的なシステム刷新を指しているわけではありません。

それでも、いまの業務の流れを一つひとつの工程に分解する「業務プロセスの見直し」時間が無い場合は、業務プロセスの見直し自体をAI導入における中核タスクとして位置づけ、責任者とスケジュールを引いて明示的に進めることを推奨します。

関連記事:AIエージェント導入は「何ができるか」ではなく「何を任せるか」で判断する

まとめ

独自調査の生成AI活用群と未活用群の比較データが示したのは、生成AIの活用だけでは、営業事務時間比率は変わらないという事実です。

生成AIを入れても営業の業務時間構造が変わらないのは、作業と作業の間の「つなぎ」の時間が残っているからでした。

現在の営業組織のAI活用は「チャットで個別作業を手伝ってもらう」という点の利用が中心であり、業務プロセスを通しで自動化する線の活用には届いていません。

業務時間構造を変えるために必要なのは、AIツールの追加導入ではなく、業務プロセスを工程単位で分解し、どこを人がやり、どこをAIに任せるかを再設計することです。

本記事の「点と線のAI活用」の構造的な違いへの理解が、次のAI活用を考える際の判断材料になれば幸いです。

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