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【2026年 独自調査】AI導入が進まない理由|営業616名で見た「余力なし」の正体

2026/7/1

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経営会議で「AIの活用をもっと進めたい」と合意は取れている。
それでも、いざ動かそうとすると、なかなか動けない。

「進めたいのに、なぜか進められない」という、原因の言語化ができない状態にあるDX・DXAI推進担当の方が、いま多くいらっしゃいます。

その正体を、年商100億円未満の中堅・中小企業の営業職616名を対象にした独自調査「営業AI白書2026」(株式会社deflag、以下「白書」)のデータを使って、解き明かしていきます。

意思決定層が挙げた、AI導入の最大の阻害要因

意思決定層にAI導入最大の阻害要因を1つだけ選択してもらった結果

白書では、中堅・中小企業の意思決定層(年商100億円未満の課長・マネージャー以上、N=649)に対して、「あなたの営業部門への導入・定着を阻む、最も大きな理由は何か」を直接尋ねています。

「業務プロセスを見直す余力がない」25%、「活用法が分からない」15%

結果は、相応に重いものでした。

意思決定層が選んだ、AI導入の最大の阻害要因

  • 業務プロセスを見直す余力がない:25%(最大)

  • 活用法が分からない:15%(次点)

集計対象:年商100億円未満の中堅・中小企業の、役職が課長・マネージャー以上(N = 649)設問文:生成AI導入において、「セキュリティリスク」「導入費用」「社内のITリテラシー」が解決されたと仮定し、それでもあなたの営業部門への導入・定着を阻む最も大きな理由が何だと予想するか、をお選びください

約4人に1人の意思決定層が、最大の障壁として「業務プロセスを見直す余力がない」を選んでいます

次点の「活用法が分からない」と合わせると、回答者の40%は自社の業務を見直して、AIに何を任せられるかを設計し直すという地点で止まっていると答えていることになります。

これは業務改革を進めるためのリソースが、組織の中に物理的に残っていないという問題に踏み込んだ回答です。

次の章では、その問題を時間構造に分解していきます。


そもそも「業務プロセスを見直す」とは、何をする作業なのか

業務プロセスの見直しに必要な作業を、工程として分解する

「業務プロセスを見直す」という言葉は、業務改善プロジェクトや経営会議で耳にします。
一方で、「では、具体的に何から始めるか」と問われると、アウトプットのイメージが沸かない。
という方も多いのではないでしょうか?

業務プロセスの見直しは、おおむね次のような工程の積み重ねでできています。

  1. 業務の棚卸し:誰が、どの業務を、どの頻度で行っているかを一覧化する

  2. 業務の分類:売上に直結する業務と、社内事務・調整の業務に仕分ける

  3. 現状把握:各業務の担当者・所要時間・手順・関連システム・例外パターンを書き出す

  4. 工程への分解:一つの業務を、入力→処理→出力の単位でタスクに分解する

  5. 課題の特定:工程ごとに、時間がかかりすぎている・属人化している・手戻りが多いなどの問題点を洗い出す

  6. プロセスの再設計:課題を踏まえて、誰がどの工程を担うかを設計し直す

  7. 移行計画と運用ルール:いつから新プロセスに切り替え、例外時にどう対応するかを定める

7工程と聞くと構えるかもしれませんが、業務改革を進める組織であればどこも一度は通る作業群です。
ポイントは、この一覧を見たときに「明日30分の空き時間で進められる量ではない」と直感的に分かることです。

業務プロセス見直しが生むアウトプット

工程に対応するアウトプットも、それなりのボリュームになります。
業務一覧表(誰が・何を・どれくらいの頻度で)、業務フロー図、工程分解表(業務単位からタスク単位への落とし込み)、新業務フロー設計書、移行スケジュール。

これらは、いずれも「資料を作って終わり」ではなく、関係者の合意を取りながら更新し続けるドキュメントです。
専任の担い手と、数週間〜数か月のスケジュールを引いた上で進めるのが現実的です。

経済産業省の「中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025」も、中堅・中小企業のDXは経営ビジョンの策定と業務プロセスの棚卸し・洗い出しから始めるべきという立場を取っており、業務プロセス見直しを"準備運動"ではなく独立した一連の作業として位置づけています。

意思決定層の25%が選んだ「業務プロセスを見直す余力がない」は、このボリュームの作業を回せる時間と担い手が組織に確保されていないという事実を表現したものです。
曖昧な課題ではなく、作業のサイズに対して投入できる稼働が足りていないという話です。

AI活用における業務プロセスの見直し

ここまでは一般的な業務プロセスの見直しの話です。
AI導入の文脈では、この7工程に加えて「どの工程をAIに任せられるか」を判断する作業が必要になります。

工程4で業務をタスク単位に分解し、工程5で課題を洗い出した後に、「この工程は繰り返し発生していて手順が決まっているからAIに任せられる」「この工程は判断が必要だから人がやるべき」という仕分けを行う。そして工程6の新フロー設計で、AIを組み込んだ業務の流れを設計し直します。

つまり、業務が工程に分解されていることが、AIの当てどころを判断するための前提条件になります。
工程に分解されていない業務に対して「AIを導入しましょう」と言っても、何をAIに任せるのかが決められません。

「活用法が分からない」も、業務プロセスの見直しに行き着く

「活用法が分からない」は、AIの理解不足ではない

「活用法が分からない」という回答を、生成AIやAIエージェントの仕組みを知らないからだと考えるのは少し違います。
中堅・中小企業の経営層と話していて多いのは、「AIで何ができるかは記事や勉強会で見ている。ただ、自社のどの業務にどう当てたら効果が出るのかが分からない」という声です。

技術側の知識を増やしても、この距離はあまり縮まりません。
たとえば「AIエージェントは複数の工程を自律実行できる」と聞いても、自社のどの業務がその"複数の工程"に当たるのかが言語化されていなければ、当てどころは特定できません。

「活用法が分からない」と答えた15%の多くは、技術の理解ではなく、自社の業務をどこまで細かく把握できているかという点で止まっていると考えるほうが自然です。

業務が「ひとかたまり」のままだと、AIを当てる候補が見えない

なぜ業務の把握が進まないのか。
業務を「ひとかたまり」のまま捉えていて、工程に分解されていないからです。
たとえば「見積書の作成」という業務は、分解すると「案件情報の引き当て」「過去類似案件の参照」「条件の調整」「ドラフト作成」「上長確認」「顧客送付」のような複数のタスクで構成されています。

けれど多くの現場では「見積書作成」という一塊のラベルで管理されたままで、内側の工程がドキュメント化されていません。

工程に分解されていない業務は、AIに任せる候補として評価できません
「見積書作成にAIを使えますか」と問われても、明確には答えられない。一方、工程に分解された後であれば、「過去類似案件の参照」と「ドラフト作成」はAIに任せられるが「条件の調整」と「上長確認」は人がやるべき、というように具体的な判断ができるようになります。

上位2項目は繋がっている

ここまで来ると、上位2項目の障壁が別々の課題ではないことが分かります。

  • 「業務プロセスを見直す余力がない」(25%)→ 業務プロセスの見直しに使える時間と担い手がない

  • 「活用法が分からない」(15%)→ 業務プロセスを工程に分解できていないので、AIを当てる先が判断できない

2つを並べると、いずれも業務プロセスを工程レベルまで見直して整理するという同じ作業を経由しないと解けないと分かります。

合計40%、意思決定層の4割が同じ課題で詰まっている
これが白書のデータが示していることです。

セキュリティ・コスト・リテラシーを解決した後に残った障壁の中身は、結局「業務プロセスを見直して工程に分解する作業を、誰が、いつ進めるのか」という一点にまとまります。

業務プロセス見直しを「独立タスク」として、責任者とスケジュールを引いて進める

「現場の片手間」「個人の工夫任せ」では進まない

ここまでの整理を踏まえると、組織が次に取るべき打ち手はひとつに絞られます。
業務プロセスの見直しを、AI導入における独立した中核タスクとして位置づけ、責任者とスケジュールを引いて明示的に進めることです。

「片手間」「個人の工夫任せ」という表現は、現場でよくある状況、たとえば「業務改善も大事だから、各自余裕のあるときに進めてほしい」と号令だけかけて、誰の業務として定義もせずに放置されるような状況を指しています。

記事前半で示したとおり、業務プロセスの見直しは複数工程・複数アウトプットの作業です。「余裕があったら進める」という前提では物理的に動きません。

明示的にしておくべき4点:責任者・スケジュール・アウトプット・工数

では、「独立したタスクとして位置づける」とは、運用上、何を明確にしておくことを指すのか。次の4点に集約されます。

  1. 責任者:業務横断で意思決定できる立場の人を1人決める。経営層または部門長レベルを推奨。

  2. スケジュール:四半期単位など明確な期限。マイルストーン(業務一覧/工程分解/AI適合性評価/新フロー設計)ごとに〆切を設定。

  3. アウトプット定義:どのフォーマットで何を作るのかを事前に合意する(章2に挙げたアウトプット群)

  4. 工数の明示:専任化が難しい場合でも、責任者の業務時間の何%を本タスクに充てるかを明示する。

スケジュールは特に重要です。
期限を引かないと「いつか落ち着いたらやる」になり、結局進まない状況になりがちです。マイルストーンごとに何ができていれば次に進むのかを定義しておきましょう。

「経営アジェンダ」として可視化する

業務プロセスの見直しを「現場で各自進めること」と位置づけた瞬間、経営会議のアジェンダから外れます。
アジェンダから外れると、責任者の意思決定対象にもならず、スケジュールも工数も引かれないまま放置されます。

これを避ける一番現実的な手は、「業務プロセスの見直し」をAI導入プロジェクトの中核タスクとして経営会議のアジェンダに明示的に置くことです。
AI導入プロジェクトの進捗報告の冒頭に「業務プロセス見直しの進捗」を必ず置く、というルールを設けておくだけでも、優先度の位置づけは大きく変わります。


まとめ──AI導入を進める上での最大の障壁は、業務プロセスを見直す時間がないこと

最後に、本記事の内容を整理します。

中堅・中小企業の意思決定層が選ぶ、AI導入最大の阻害要因は、「業務プロセスを見直す余力がない」25%
次点は「活用法が分からない」15%で、これも自社のどの業務にAIを当てるかの判断、すなわち業務プロセスの見直しが起点になってるといえます。

「業務プロセスを見直す時間がない」からこそ、業務プロセスの見直しは、AI導入における独立した中核タスクとして、責任者・スケジュール・アウトプット・工数を明示的に引いて進める必要があります。

「AI導入を進めたいのに、なぜか前に進まない」という課題を、ツール選定の話やベンダー比較の話に逃がしてしまうと、本当に手を入れるべきところを見落とします。
必要なのは、業務プロセスの見直しを、現場の片手間や個人の工夫任せから引き剥がし、組織として責任者とスケジュールを引いて進める体制を作ることです。

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