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データレイクハウスとは|AI活用の土台になる理由と、DWH・データレイクとの違い

2026/6/19

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  • # データ基盤

  • # AI導入

  • # AI

  • # DX・AI推進担当

「データレイクハウス」という言葉に行き当たるのは、たいていAI活用を進めようとしたときではないでしょうか?

社内のデータをAIに使わせたい、そのためにデータ基盤を見直したい。

そう考えて調べ始めると、データウェアハウス(DWH)、データレイク、データレイクハウスと似た言葉が並び、しかもAIの話になると、決まってデータレイクハウスが挙がってきます。

ただ、それぞれの製品説明を読み比べても、なぜAI活用の文脈でデータレイクハウスなのかは、なかなか見えてきません。自社がどれを選ぶべきなのかもわかりません。

そこで本記事では、データレイクハウスがどうやって生まれたのかを起点に、DWH・データレイクとの違い、なぜいま注目されるのか、そしてAI活用との関係までを順に整理します。


データレイクハウスとは|DWHとデータレイクを1つにした基盤

データレイクハウスとは

データレイクハウスとは、会社にあるさまざまなデータを一貫した管理・アクセス・分析の仕組みで扱えるようにするためのデータ基盤です。

会社の中のデータは大きく2種類に分けられます。
1つは、売上や在庫数、顧客リストのように、表計算ソフトの行と列にきれいに収まる「数字の表」のデータです。これを構造化データと呼びます。

もう1つは、議事録や契約書、メール、画像のように、決まった型を持たない文章や画像のデータで、こちらを非構造化データと呼びます(両者の違いは構造化データと非構造化データの違いで整理しています)。

これまで、この2種類は別々の仕組みで管理されるのが普通でした。
データレイクハウスは、その2つを同じ仕組みの上でまとめ、数字の表も、文章や画像も、一緒に貯めて分析やAIに使えるようにしたものです。

このデータレイクハウスは、これまで広く使われてきた「データウェアハウス(DWH)」と「データレイク」という2つの仕組みの、良いところを1つに合わせて作られました。

大まかには、DWHは数字のデータをきちんと整理して分析するのが得意な仕組み、データレイクは種類を問わずデータを安くたくさん貯めておける仕組みです。

この2つを1つの土台にまとめようという考え方で、Databricksが2020年に提唱し、広く知られるようになりました(レイクハウスと略されることもありますが、本記事ではデータレイクハウスで統一します)(出典: Evolution to the Data Lakehouse — Databricks)。

なぜ生まれたのか|データ基盤の3世代の進化

データレイクハウスは、突然発表された新製品ではありません。
「多様なデータを1か所で、信頼できる形で扱う」という長年の課題への答えとして出てきた考え方です。データ基盤の遍歴を3つの世代で整理します。

第1世代が、DWHです。
古くから、社内のあちこちのシステムに散らばった数字を1か所に集めて分析するために使われてきました。
ただし扱えるのは構造化データが中心で、テキストや画像、音声、動画といった多様なデータを、データベースを検索するための言語であるSQL以外の方法で分析したい、という用途には向いていませんでした。

第2世代が、その弱点を補うために組まれた「データレイク+DWHの2層構成」です。
まず安価なデータレイクに生のデータをそのまま貯め、そのうちの一部だけを抽出・変換などの処理をしてDWHに移して分析する、という2段構えが使われました。
しかしこの形は、レイクとDWHでデータが二重に管理され、同期がずれてDWH側の数字が古くなる(データの陳腐化)、ストレージ費用が二重にかかる、といった問題を抱えていました。

そして第3世代が、データレイクハウスです。
安価なデータレイクのストレージの上に、DWHが持っていたデータ管理と信頼性の仕組みを直接載せることで、2層に分かれていたものを1つにまとめました。
二重管理やストレージ費用の問題をなくしながら、信頼できる分析を1か所で行えるようにしたものが、データレイクハウスの発想です。


DWH・データレイク・データレイクハウスの違いを整理する

成り立ちが分かったところで、DWH・データレイク・データレイクハウスの3つを、あらためて順に並べて整理します。

データウェアハウス(DWH)とは

データ分析の土台として長く使われてきたのが、データウェアハウス(DWH)です。
社内のいろいろなシステムから数字を集め、集計や結合、大量のデータの読み出しに向くように整えた、分析専用のデータベースだと考えてください。

売上、在庫数、顧客リストのように、表計算ソフトの行と列にきれいに収まる構造化データを扱い、「先月、地域別でいちばん伸びた商品は」といった問いに、すばやくグラフで答えるのが得意です(出典: いまさら聞けない!「レイクハウス」とDWH、データレイクの違いとは — NTT DATA)。

データレイクとは

次に、データレイクです。
これは、構造化データも非構造化データも、加工せずそのままの形で、ひとまとめに貯めておける保管場所です。

保存する時点ではデータの型を決めず、使うときに初めて整える特徴があります。
安く大量に、文章も画像も貯められるのが強みです。

データレイクハウスは、この2つの「いいとこ取り」

データレイクハウスは、ここまで見たDWHの「整理して、信頼できる形で分析できる」強みと、データレイクの「構造化も非構造化も、安く大量に貯められる」強みを、1つの土台で両立させたものです。3つの違いを、表にまとめます。

データウェアハウス(DWH)

データレイク

データレイクハウス

扱うデータ

構造化データ中心

構造化〜非構造化すべて

構造化〜非構造化すべて

整え方

入れる前に整える

使うときに整える

生で貯めつつ、管理層で整える

主な用途

集計・レポート・BI

大量保管・データ収集の受け皿

BIと機械学習・生成AIを一つの土台で

AI・非構造化との相性

限定的(構造化の枠に閉じやすい)

貯められるが活用には別途整備が要る

一元的に扱え、AIの参照元にしやすい

コスト感

高め(専用の基盤が要る)

安い(汎用ストレージに貯める)

安いストレージに管理機能を重ねる

課題

非構造化が苦手・高コスト

沼化・品質管理が難しい

比較的新しく、設計・運用の知見が要る

※技術補足:技術的には、データレイクハウスは安価なストレージの上に、Delta LakeやApache Icebergと呼ばれる「テーブル管理の層」を重ね、データベースなら当たり前の整合性の担保(専門的にはACIDと呼ばれる仕組み)を後から持たせています。
データを貯める部分と、計算する部分を切り離せるため、必要なときに必要なぶんだけ処理能力を足せる、という設計上の利点もあります。なお、この管理層の上で生データを段階的に整えていく代表的な進め方がメダリオンアーキテクチャで、別記事で解説しています。


なぜ「生成AIを使いこなす土台」として、データレイクハウスなのか

そもそもAIは、自分が参照できるデータからしか答えられません。

世の中の生成AIは、インターネット上に公開された膨大な文章を学んでいるので、一般論ならいくらでも流暢に語れます。

けれど、自社の商談がどう転んで失注したのか、あの月に何が起きていたのかは、ひとつも知りません。知らないことは、一般論で埋めるしかありません。
だから、売上や件数のような数字なら答えられても、その数字の理由や経緯を聞いたとたんに、AIは急に的外れな回答をしてしまいます。

これが、自社のことになるとAIが頼りなくなる、いちばん根っこの理由です。

データレイクハウスとAIは、どちらが先に生まれたのか

先にデータレイクハウスとAIの順番を整理しておくと、混乱が減ります。

「AIのためにデータレイクハウスが作られた」と受け取ると、実際とは逆になります。
データレイクハウスが提唱されたのは2020年で、ChatGPTに代表される生成AIが広く使われ始めた2022〜2023年より前のことです。

当時から機械学習をはじめとするAI活用がデータ基盤を見直す動機の1つに挙げられていましたが、データレイクハウスの主な狙いは、前の世代の2層構成が抱えていたデータの二重管理や陳腐化を解くことにありました。

つまり、データレイクハウスという概念が先にあり、その後に生成AIが実際に広まった、という順番です。
そして生成AIが議事録や契約書のような非構造化データをそのまま読めるようになったことで、構造化データと非構造化データを1か所にまとめて置けるデータレイクハウスの利点が、AI活用の文脈で急に際立つことになりました。

「AI活用ならデータレイクハウス」と言われるのは、両者がこの順番でうまく噛み合ったからです。

生成AIの前と後で、データレイクハウス活用はどう変わるのか

同じデータレイクハウスでも、生成AIを使うかどうかで、活かし方は変わります。

生成AIが広まる前、データレイクハウスの主な使い道は、集計やレポートづくりと、データからパターンを学んで数値を予測する機械学習で、扱うのは構造化データが中心でした。
議事録や契約書などの非構造化データを貯めても、そこから何かを読み取るには、構造化データとは別で人手での処理が必要だったからです。

生成AIの登場で、この非構造化データが簡単に実務で活かせる資産へと変わりました。
文章や画像をAIがそのまま読み、意味を汲み取れるようになったためです。
次章で見るRAGという仕組みを通じて、9割を占める非構造化データを、AIの参照元として直接使えるようになりました。

データレイクハウスに貯めてあった非構造化データの価値が、ここで一気に引き出されたのです。

AIのデータ参照元として、構造化データも非構造化データも渡せる

データレイクハウスのAI活用において鍵になるのが、RAG(検索拡張生成)という仕組みです。

RAGは、AIに質問が来たときに、まず社内のデータの中から関連しそうな情報を検索して取り出し、それをAIに渡したうえで答えさせる、という検索の仕組みを指します。

AIに自社の資料をその場で参照させ、一般論ではなく自社の文脈で答えさせるために、広く使われている方法です。

つまりRAGの良し悪しは、「AIが何を参照できるか」、すなわち参照元のデータがどれだけ揃っているかに、そのままかかってきます。

データレイクハウスは、ここで力を発揮します。

構造化データの隣に、議事録や契約書といった非構造化データも一元的に置いておけるため、RAGの参照元として、両方をまとめてAIに供給できるのです。

構造化だけのDWHでは届かなかった9割の非構造化データにもAIが届くようになる、というわけです。

具体的に、何ができるようになるのかを見てみます。

たとえば「あの案件は、なぜ失注したのか」という問い。

データレイクハウスに商談の議事録、先方とのメール、提案書、見積りの履歴までが一元的に貯まっていれば、RAGはそこから当該案件に関する記録を拾い集め、AIは「価格よりも導入時期の条件が折り合わなかった」「決裁の直前に競合が別提案を出していた」といった、記録に裏打ちされた答えを返せるようになります。

一般論ではなく、自社の事実にもとづいた振り返りです。

あるいは、「なぜ昨年の第1四半期は、売上が落ちたのか」という問い。

売上の数字そのものはDWHでも分かりますが、その裏側にある理由、たとえば「主力顧客の発注が止まった」「ある地域で競合が値下げに動いた」「大口案件の検収が翌期にずれ込んだ」といった事情は、当時の商談メモや日報、社内外のメールのやりとりの中にしか残っていません。

これらも1か所に貯まっていれば、AIは数字の増減と、その背景にある出来事を突き合わせて、「該当四半期の落ち込みは、特定の大口案件の検収時期がずれた影響が大きい」といった、筋の通った説明を返せるようになります。

経営者が知りたいのは多くの場合、数字そのものより、その数字が動いた理由のほうです。
違いを生んでいるのは、AIが急に賢くなったことではなく、参照できるデータの範囲が構造化の枠を越えて広がったことです。

AIが参照できるデータの範囲を広げる基盤として適していることが、データレイクハウスが「生成AIを使いこなす土台」として選ばれる理由です。


DWHもデータレイクハウスも、ただの「箱」にすぎない

ここまで読むと、「では、自社もデータレイクハウスを入れさえすれば、すぐにAIが使えるようになるんだな」と思われたかもしれません。

けれど、ここで1つ、注意していただきたいことがあります。
基盤を入れることと、AIを使いこなせるようになることは、決してイコールではありません。

DWHであれデータレイクハウスであれ、それ自体は、データを入れておく「箱」にすぎない、ということです。

箱を立派にすること、つまり基盤を構築・導入すること自体が目的になってしまうと、待っている結末は、たいてい決まっています。
「多大なコストをかけて基盤を整えたのに、誰もそれを使ってAIに問いを投げず、ただデータが溜まっただけの箱になる」というものです。

意味があるのは、箱を作ったその先です。

整えた基盤の上でAIに自社のことを問い、返ってきた答えから示唆を読み取り、そこで見えた課題を、実際の打ち手や業務の改善につなげる。

さらに、その結果として生まれた新しいデータをまた基盤に貯め、次の問いに活かしていく。
この一連の流れを、現場の業務として回し続けて初めて、基盤への投資は報われます。

逆に言えば、この「使い続ける」運用が伴わないなら、どれだけ高機能なデータレイクハウスを入れても、宝の持ち腐れになりかねません。


まとめ——データレイクハウスがAI活用の土台になる理由

データレイクハウスは、DWH(データウェアハウス)とデータレイクを1つにまとめ、売上のような構造化データも、議事録や契約書のような非構造化データも、同じ仕組みの上で扱えるようにしたデータ基盤です。

前の世代の「データレイク+DWHの2層構成」が抱えた二重管理やデータの陳腐化を解くために生まれ、その後に生成AIが広まったことで、企業情報の9割を占める非構造化データを、そのままAIの参照元にできる土台として価値が際立つようになりました。

AIが自社のことに的外れな答えしか返さないとき、原因の多くはAIの性能ではなく、AIが参照できる社内データの範囲にあります。
経営者が本当に聞きたいことの大半は非構造化データの側にあるのに、構造化データ中心のDWHだけでは、そこに手が届きません。
構造化と非構造化を一元的に扱えるデータレイクハウスが、生成AIを使いこなすための土台になります。

ただし、基盤を入れること自体がゴールではありません。
データレイクハウスもDWHも、使わなければただの「箱」です。

本当に大事なのは、整えた基盤にAIで問いを投げ、得た示唆を課題解決や業務改善まで回し続けること。
まずは「自社のAIが伸びないのは、データ基盤に原因があるのかもしれない」と社内を見直し、AIに任せたいことを1つ決めて、必要な範囲のデータから小さく始めてみてはいかがでしょうか。

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